学術集会長 新谷奈苗
(和洋女子大学 看護学部看護学科 教授)
このたび、第10回日本産業看護学会総会ならびに学術集会を千葉県市川市にて開催させていただくことになりました。今回の総会ならびに学術集会では、テーマを「日本の元気を支える 産業看護の力 ~すべての働く人々・組織に産業看護サービスを~」とさせていただきました。
少子高齢化が進むわが国は、労働人口の減少が切実な課題となっています。そこで、新たな担い手と期待されるのが、女性、高齢者、外国人、チャレンジド(障がい者)などの力です。産業現場ではこのような多様な人材を確保し、マンパワー不足を補填していく必要があります。また企業間競争が国際化かつ激化し、ニーズの変化が短期間に加速する現代では、同質な能力よりも多様な能力が必要とされます。
企業は積極的に多様な人材を受け入れ、彼らの多様な働き方に対応し、目まぐるしく変化する時代を乗り切ることが求められています。このような変化著しいグローバル社会にある企業の健康経営を支えるのは、いつも人々の傍らにいて、こころとからだの両面を支える産業看護の力です。またこの力は、労務・人事、産業医をはじめとする多くの専門職者との協働によってこそ最大の力を発揮できるものと確信しています。本学術集会は10回目の節目を迎えるにあたり、行政、学校、企業等さまざまな機関で健康を支える産業看護の方々のみならず、協働する他分野の方々にも広く参加を募っております。
第10回学術集会の開催校である和洋女子大学は、社会を牽引する女性を育てることを教育目標とし、東京千代田区富士見に明治30年に創設されたのが始まりです。本学術集会は創立125周年となる記念すべき年に先駆けて開催される学術集会となります。今回の学術集会では、産業看護、産業保健の今日的課題に焦点を当てた講演やシンポジウムを、関連領域の先生方とともに企画しています。さらに、産業看護、また協働する各専門職者の方々とも、今後の課題を明らかにすることのできる企画を計画しています。こうした企画の詳細は、学術集会Webサイトに随時公開していきますので、隅々までご覧いただければ幸いです。
2021年1月吉日